東海道新幹線 ~不断のサービスの充実~

当社は、会社発足以来、日本の大動脈輸送の役割を担う東海道新幹線の競争力を維持・強化するため、安全かつ正確な点はもとより、高速、高頻度・大量、環境適合、快適という東海道新幹線の特性に磨きをかけてきました。具体的には、「のぞみ12本ダイヤ」の実現、新型新幹線車両N700Sの投入、ネット予約・チケットレス乗車サービスの拡大等により、不断にサービスを充実させています。

「のぞみ12本ダイヤ」の実現による
大幅なサービスの更新

1987年の会社発足時、東海道新幹線は最高速度220km/hで運転していましたが、1992年に300系「のぞみ」による最高速度270km/h運転を実現し、2003年には品川駅の開業と全列車の最高速度270km/h化により、「のぞみ」中心のダイヤにシフトしました。また、2015年には、23年ぶりに東海道新幹線の速度向上を実現し、最高時速を285km/hとしています。さらに、2020年春に700系車両が引退し、N700Aタイプ※への車種統一に伴う全列車の最高速度285km/h化とともに、設備の改良等の実施により、2020年3月のダイヤ改正では「のぞみ12本ダイヤ」を実現しました。1時間当たりの「のぞみ」片道最大運転本数をこれまでの10本から2本増加し、お客様のご利用が多い時間帯に「のぞみ」を12本運転できるようになりました。また、すべての「のぞみ」が東京~新大阪間を2時間30分以内で結びます。お客様に、ご自身の都合に合わせて列車をネットでご予約いただき、速達化された「のぞみ」をご利用いただくことで、目的地までのトータルの移動時間を短縮することができます。これにより、一層便利にご利用いただけるようになっています。

  • N700Aに採用した主な機能を改造により反映したN700系と、N700Aの総称。

東海道新幹線の運転本数と輸送量の推移

  • 注1. 臨時列車を含む運転本数の実数
  • 注2. 利用状況は断面輸送量について1987 年度を100とした場合の指数
  • 注3. 途中停車駅 のぞみ:品川、新横浜、名古屋、京都
    ひかり:「のぞみ」停車駅とそれ以外の一部の駅 こだま:各駅
  • 注4. 端数処理により、のぞみ・ひかり・こだまの合計が合計と一致しない場合があります。
  • 注5. 2020年度の列車本数及び2019年度、2020年度の利用状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により数値が低くなっている

「のぞみ」の所要時間(東京~新大阪間)

新型新幹線車両N700Sの投入

2020年7月より、N700Aタイプの置き換えとして新型新幹線車両N700Sを投入しています。N700Sは、これまで積み上げてきた技術開発の成果を取り入れ、安全性・安定性の向上、快適性・利便性の向上、異常時対応力の強化、様々な編成長を容易に構成できる「標準車両」等の特長を有しています。

投入編成数

N700Sの主な特徴

安全性・安定性の向上

  • 地震時のブレーキ距離短縮
  • 着雪防止対策の強化
  • 状態監視機能の強化

異常時対応力の強化

  • バッテリ自走システムの搭載
  • 防犯カメラの増設
  • 通話装置の機能強化
  • 停電時におけるトイレ機能の確保

快適性・利便性の向上

  • フルアクティブ制振制御装置の搭載
  • モバイル用コンセントの増設

ランニングコストの低減

  • 消費電力量の削減
  • 検修作業の省力化

地震時のブレーキ距離短縮(285km/hから)

ATCとブレーキシステムを改良し、地震時のブレーキ距離をN700Aタイプから5%短縮します。

消費電力量の削減

走行抵抗を低減した先頭形状(デュアル スプリーム ウィング形)の採用や次世代半導体「SiC素子」の駆動システムへの採用により、消費電力をN700Aタイプから7%削減します。

バッテリ自走システムの搭載

バッテリ自走システムを高速鉄道で初めて搭載し、自然災害等による長時間停電時においてもトンネルや橋りょう等を避けてお客様の避難が容易な場所まで自力走行が可能となります。

ネット予約&チケットレス乗車サービスの拡大

東海道新幹線をより便利にご利用いただけるように、ネット予約&チケットレス乗車サービスである「EXサービス」(「エクスプレス予約」「スマートEX」等)の利用拡大に取り組んでいます。ビジネス等で頻繁に新幹線をご利用されるお客様向けには、一年中おトクな会員価格でご利用いただける「エクスプレス予約」を提供しています。当サービスの会員は、スマートフォン等でご希望の座席を予約すれば、専用のICカードを自動改札機にタッチするだけで新幹線にご乗車いただけることから、駅のきっぷうりばに立ち寄る必要がなくトータルの移動時間を大幅に短縮いただけます。また、予約は、発車前であれば何度でも手数料なしで変更できるため、急なスケジュール変更があっても安心してご利用いただけます。さらに、帰省や観光目的の方、訪日外国人の方等、普段あまり新幹線をご利用にならないお客様にもネット予約&チケットレス乗車サービスをご利用いただけるよう、年会費無料の「スマートEX」も提供しています。当サービスは、お持ちのクレジットカードと全国相互利用対象の交通系ICカードを、スマートフォン等から登録していただくだけで、すぐにご利用いただけます。これにより、より多くの方に便利に新幹線をご利用いただけるようになりました。現在、両サービスを合わせた指定席に占めるネット予約の割合は、全体の半数近くとなっています。

EXサービスの
会員数・登録者数

「スマートEX」利用
イメージ

EXサービスのさらなる拡充

2021年3月から、複数人でのご乗車の際のチケットレス乗車サービス、訪日外国人向けQRコードによるチケットレス乗車サービス、遅延が発生した列車の指定席予約・変更サービスを開始しました。これにより、複数人でご乗車されるお客様や交通系ICカードをお持ちでない訪日外国人のお客様も、きっぷを受け取ることなく新幹線にご乗車いただくことが可能となりました。また、2022年6月には、EXサービスの九州新幹線区間(博多~鹿児島中央間)へのサービスエリア延伸を行い、東海道・山陽・九州新幹線全線(東京~鹿児島中央間)でのサービスを開始しました。さらに、2023年10月からは、乗車直前まで新幹線を変更可能で、チケットレスで新幹線に乗車できる旅行商品「EX旅パック」や、宿泊施設や観光プラン、レンタカー等を自由に組み合わせてご予約の上、シームレスに決済いただける「EX旅先予約」を展開し、加えてEXサービスでは、1年前から新幹線の指定席をご予約いただけるようにしました。また、このたび法人会員のニーズを受けて、東海道・山陽・九州新幹線の区間別の1人当たりCO2排出量を開示しました。これらの仕組みの中でお客様にとって魅力的な商品を提供することで、ビジネス・観光の両面でサービスを向上させ、将来のご利用の増加と収益拡大につなげていきます。

出張・旅行の予約が、一括で、シームレスに手配可能に

観光需要喚起のための取組み

「京都CP」ポスター

地域やターゲットごとに様々なキャンペーンや商品を展開し、多様な情報媒体・販売チャネルを通じて観光需要の喚起に取り組んでいます。当社エリアの最大の観光資源である京都・奈良については、「そうだ京都、行こう。」キャンペーン(1993年~)や「うましうるわし奈良」キャンペーン(2005年~2021年)、「いざいざ奈良」キャンペーン(2022年~)等、継続的なキャンペーンを地元や旅行会社とともに実施し、主に首都圏から関西圏への新幹線のご利用を促進しています。このほか、沿線各地を対象とした魅力ある商品設定に取り組んでいます。2020年夏からは、「定番」から時間、場所、旅先での移動手段や行動をずらしたこれからの新しい旅として「ずらし旅」や、ご自身の「推し」に会いに行く「推し旅」を各種事業者と協力し、新しい内容にアップデートして提案するキャンペーン「推し旅アップデート」、東海道新幹線を号車単位で貸し切り、車内でオリジナルイベント等を実施できる「貸切車両パッケージ」を展開するなど、お客様の動向やニーズをつかんだ新たな営業施策を積極的に展開しています。さらに、訪日外国人のお客様に向けて、沿線の自治体や他の交通事業者等と連携し、「高山・北陸」等の訪日外国人のお客様に人気のエリアに周遊きっぷを設定・販売しているほか、東海道新幹線を利用して当社沿線をご旅行いただく商品・サービスを展開し、旺盛なインバウンド需要の喚起も図っています。これら当社エリアの商品や観光情報等をまとめた多言語のポータルサイト「CentralJapanShinkansen/TrainPortal」により情報発信を行っています。

新しい働き方に応えるビジネス環境の整備

東海道新幹線では、働く場所を選ばない新しい働き方の広がりを踏まえ、お客様のワークスタイルに応じた移動時間をお過ごしいただけるよう、駅や車内のビジネス環境を充実させてきました。今後、車内のビジネス環境をさらに充実させるべく、新たなサービスを提供していきます。具体的には、「のぞみ」の7号車の「S Work車両」について、サービスの充実を図ります。7号車の一部の3人掛け席のB席にパーティション等を装備し、A・C席を「S WorkPシート」とします。また、「のぞみ」に加え、「ひかり」「こだま」についても、7号車を「S Work車両」として運行し、繁忙期・最繁忙期にも「S Work車両」を設定することとします。その他、N700Sの「ビジネスブース」について、利便性向上のため改良を加え、N700S全編成に整備し、2023年10月1日より順次使用を本格導入しています。本格導入以降は有料となります。さらに、東海道新幹線のすべての「のぞみ」停車駅の一部の待合室に無料の半個室タイプのビジネスコーナーとコンセントポールを整備します。また有料のワークスペース「EXPRESS WORK」は「のぞみ」停車駅と一部「ひかり」停車駅にブース型を、東京駅にはラウンジ型をそれぞれ展開しています。今後も、東海道新幹線を利用されるビジネスパーソンの皆様が、一層、便利で快適にお過ごしいただけるように、様々な面でサービスを磨いていきます。