高速鉄道システムの海外展開

海外展開の意義

当社は会社発足以来、日本の大動脈である東京~名古屋~大阪の三大都市圏を結ぶことを最大の使命として安全・安定輸送に注力してきました。この間、多額の設備投資や技術開発を行ってきた結果、東海道新幹線は安全性・正確性に加えて、高速・高頻度・大量輸送の点でも大きな進化を遂げています。日本の高速鉄道に関わる市場は、これまで新路線の建設・開業と相まって拡大してきましたが、近年は国内の新幹線の整備も一段落しつつあります。また、東海道新幹線に関しては本年7月に営業運転を開始したN700Sが新幹線車両としての究極形に近づきつつあり、車両開発も成熟期を迎えています。当社が推進する高速鉄道システムの海外展開は、国内各関連メーカーの市場を拡大させ、技術力の維持・強化を図ることに加え、当社には資機材の安定供給、鉄道関係機器の技術革新やコストダウンとしてフィードバックされることも期待されるものであり、当社が日本の大動脈を維持・発展させるという使命を将来にわたって永続的に果たすために重要な取組みだと考えています。展開先の候補は、当社の高速鉄道システムの優位性が十分発揮されるよう、新線による高速旅客専用線で、トータルシステムの導入が期待できる国や地域としています。また、知的財産権が確立し、契約の尊厳が社会通念として定着し、法制度が完備されていること、政情が安定していること、巨大なインフラ投資を行うだけの経済力を有していることも必要であると考えており、現在、米国をターゲットとして、海外展開に取り組んでいます。

コンサルティング&コーディネーション事業

高速鉄道のような巨大で地域社会と経済の根幹となるインフラは、そのインフラが所在する国や地域の政府や企業が責任を持って保有・運営すべきであるという考えから、当社は高速鉄道システムの海外展開においてプロジェクトの事業主体とはならず、プロジェクトに対するコンサルティングを中心とした事業で寄与することとしています。具体的には、土木構造物・軌道・電力設備・信号設備・車両・運行管理システム・修繕保守等を含めたトータルシステムを海外市場に提案し、技術仕様の策定、運転・保守に関する各種マニュアルの提供、要員の教育訓練等、高速鉄道が安全・安定的に運行されるための支援とコンサルティングを行うとともに、具体化したプロジェクトにおいては日本の関連企業を取り纏めるコーディネーションを行うこととしています。

米国プロジェクトへの取組み

当社では、安全性・正確性において世界に比類のない実績を持つ東海道新幹線システムを米国テキサス州に、また当社が500km/hという高速で営業運転が可能な技術にまで完成させた超電導リニアシステム(SCMAGLEV=Superconducting MAGLEV)を米国北東回廊に展開する取組みを継続しています。

テキサスプロジェクト

チャオ米国運輸長官の
東京駅視察

テキサスプロジェクトは、民間事業としてダラスとヒューストンの2大都市間を東海道新幹線型高速鉄道で結ぼうというものです。現在、その開発主体であるTexas Central Partners社および子会社(以下、まとめて「TC」という。)が、技術仕様や工程の策定、建設資金の調達等の事業開発活動を進めています。当社は、TCによる事業開発活動を技術面から支援するため、2016年に現地子会社High-Speed-Railway Technology Consulting Corporation(HTeC)を設立しました。HTeCは現在、TCが事業開発活動において行う仕様の策定、運営・保守計画の作成、駅・保守施設等の概略設計、要員訓練・教育プログラムの作成等の業務に対し、技術コンサルティングを実施しています。加えて、当社は2018年8月に別の現地子会社High-Speed-Railwayntegration Corporation(HInC)を設立し、他の日本のメーカー各社とコアシステム受注契約に向け、TCとの協議等、準備活動を進めています。

北東回廊プロジェクト

ワシントンD.C.とニューヨークを結ぶ北東回廊については、SCMAGLEVの導入を目指し、まずはワシントンD.C.~ボルチモア間が日米両政府の協力プロジェクトとして進められるよう、プロモーション活動を実施しています。現在、同区間の調査費として米国連邦政府がメリーランド州政府に対して交付している連邦補助金2,780万ドルを活用し、連邦鉄道局等による環境影響評価の手続き等の活動が進められています。一方、日本政府も2016年度から米国でのSCMAGLEV導入に向けた調査事業を実施しています。この他、これまで米国連邦運輸長官やメリーランド州知事等の要人に、山梨において超電導リニアにご乗車いただき、完成度の高さを実感していただくなど、日米両政府においてプロジェクトに対する理解や支持が広がってきています。当社としては、プロジェクトが具体的に進展した際には、技術面から全面的に支援を行う方針です。

台湾高鉄への技術コンサルティング

日本型高速鉄道システムを採用している台湾高速鉄道を運営する台灣高速鉄路公司から技術支援の要請を受け、2014年度から技術コンサルティングを開始しました。これまでに4つの個別案件を完了し、現在は、台灣高速鉄路公司が予定している配電盤更新工事に向けた技術コンサルティングを実施しています。

日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組み

一般社団法人国際高速鉄道協会(IHRA)を通じて、「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを継続しています。