人材への取組み

人材への考え方

当社は、人材こそが最大の経営資源と考えています。鉄道技術の多くは、経験の積み重ねによって初めて高いレベルで築き上げられるもので、人材育成は一朝一夕にはできません。また、鉄道事業の運営は、多くの社員がチームワークを発揮し、一体となって初めて成り立つものであり、社員相互の信頼関係が重要であるという点からも、当社においては長期雇用が有用であると考えています。
この考え方に基づき、社員が必要な能力を備え、意欲を持ってその能力を発揮できるよう、長期雇用を前提としながらも、努力した社員により的確に報いる人事・賃金制度とし、人事運用も広く視野に入れ、計画的な人材育成に取り組んでいます。
2020年4月には、少子化の進展に伴う採用環境の変化、高齢者雇用を巡る社会情勢の変化等を見据え、60歳以上の業務経験豊富な社員が、蓄積した技術や経験を生かして65歳まで活き活きと能力を発揮できるよう人事・賃金制度の見直しを行い、定年を60歳から65歳に延長しました。
また、65歳以上の社員のうち、意欲、能力等を備えた社員を、シニア契約社員として、70歳まで継続雇用する制度も導入しています。
人材育成の基本方針としては「規律」「技術力」「一体感」の3つを基本理念として掲げています。その3つの基本理念を踏まえ、各職場における日常的な仕事を通じて、業務知識や技術を学ぶ「職場内教育訓練(OJT)」を中心に、総合研修センター等で実施する「集合研修」と、社内・社外通信研修制度等で知識・技能を習得する様々な「自己啓発」により補完する形で、当社の事業を担う人材を育成しています。
以上のような取組みを継続的に行った結果、当社の離職率は、男性1%、女性4%、全体では1%程度となっています。これは世の中と比べても際立って低く、当社の強みの一つと考えています。

  • 厚生労働省の平成29年の統計によると、世の中における離職率の平均値は、男性7%、女性11%、全体で8%。

社員の能力向上に向けた取組み

職場内教育訓練(OJT)

各職場において様々な「職場内教育訓練(OJT)」を実施しています。例えば、若手社員の専門知識・技能習得を目的として実施する「N–OJT」では、職場で一人前とされるために必要な項目と到達レベルを明示した「リスト」と、個人ごとの育成計画、指導内容、指導結果を記録する「カルテ」を用いて、きめ細かな指導育成を実施しています。

自己啓発支援

「自己啓発」についても、各種支援制度等を充実させ、意欲のある社員の能力開発を積極的に支援しています。社内通信研修では、当社及びグループ会社等の社員を対象に約30の講座を開講し、毎年多くの社員が受講しています。
資格取得奨励金制度では、約200種類の資格を支援対象としており、本制度を活用して毎年1,000人以上の社員が資格を取得しています。

集合研修

集合研修の様子

管理者層に対しては、部下社員一人ひとりの強みや能力を最大限に引き出し、職場やチームの成果を最大化する手法に関する研修等を実施しています。
中堅層に対しては、例えばプロフェッショナル職を対象に、2ヶ月前後にも及ぶ「リーダー研修」「ミドルリーダー研修」「フォアランナー研修」等の選抜型研修を実施し、将来を担うリーダーを育成しています。また、総合研修センターに設置した新幹線車両等の実際の設備を使用し、職能やレベルに応じた実践的な研修を実施することで、技術力の向上を図っています。
新入社員に対しては、入社後約1~2カ月かけて実施する新入社員研修を「学生からJR東海社員への重要な意識転換の場」ととらえ、当社社員として求められる規律・規範や安全最優先の意識を浸透させるためのカリキュラムを実施しています。

社員のICTリテラシー向上に向けた取組み

VR訓練の様子

新入社員研修をはじめとした階層別研修で、ICTに関する教育や啓発の機会を設けると共に、自己啓発でICT関連の資格取得を支援しています。
また、ICTリテラシーの向上だけでなく、デジタル技術等を積極的に活用し、教育効果の高い研修を実施しています。例えば一部の研修では、机上教育・シミュレータ等を活用した教育に加え、VR技術を用いた訓練教材等を活用することで、内容の意義・本質の理解の深度化を図っています。また、新入社員に対して、車両構造の説明の際に360度カメラで撮影した床下機器の映像を投影し、床下機器を様々なアングルから説明することで、実物をみたことのない新入社員の理解度を向上させる取組み等も行っています。

「One STEP」活動

「One STEP」活動の様子

職場の諸課題を、複数の社員が1つのチームとなって当事者意識を持って議論し、自らの創意と工夫で解決、改善していく「One STEP」活動を推進しています。この活動の名称は「十人の一歩は一人の十歩に勝る」という思いを込めたもので、サービスの向上、安全性の向上、コストダウン等、多岐に亘るテーマの活動を通じ、社員の能力を向上させ、働きがいのある活き活きとした職場を作り、職場の体力強化・会社の発展を目指しています。

ダイバーシティの推進

当社では、多様な人材を雇用し、その能力を最大限に引き出して企業の成長につなげることは、経営上極めて重要なことであると考えています。
これを踏まえ、採用においては、性別・国籍等を区別することなく選考を行っており、障がいをお持ちの方の雇用も積極的に行っているところです。
女性活躍の観点においては、男女雇用機会均等法等の趣旨を踏まえ、採用・配置等、人事面の取扱いにおいて男女の区別なく公平に行っており、現在女性社員は、管理部門の業務、駅のフロント業務、新幹線・在来線の車掌・運転士業務、病院の看護業務等をはじめ、広範な業務に従事しています。
鉄道事業では、その業務の特性上、いわゆる深夜労働(22時から翌日5時にかかる時間帯の労働)が不可欠ですが、当社発足時の労働基準法では、一部の限定的な職種を除き、女性の深夜労働は原則として禁止されていました。そのため、1996年度末における当社の女性社員の割合はわずか1.3%にとどまりました。
その後、1997年の労働基準法改正を受け、当社では本格的に女性社員の採用を開始しました。2019年度末時点で、女性社員数は約2,000人(全社員に占める割合は約11%)と大幅に増加しています。
多様な人材が安心して業務に邁進し、その能力を最大限発揮できるよう、制度面において多様かつ柔軟な働き方を可能にするとともに、設備的な充実も図るなど、就労環境の向上に努めています。

育児・介護等と仕事の両立支援

当社では、性別に関わらず仕事と家庭を両立させ、意欲や働きがいを持って長きにわたり活躍できるよう各種制度の充実に積極的に取り組んでいます。2006年に運輸業界・鉄道業界で初めてファミリー・フレンドリー企業表彰※1「厚生労働大臣努力賞」を受賞しましたが、それ以降も一層の充実に努めてきており、多くの制度が法律の定めを大きく上回る水準となっています。
例えば、産前休業、育児休業、介護休業を法定の期間よりも長く取得することができます。特に育児休業に関しては、取得率の維持・向上を目指すため、計画※2を定めて取り組んでおり、2018年度の育児休業の取得率は女性が100%、男性が14.69%です。
また、仕事と家庭の両立を支援するため、非現業社員を対象としたフレックスタイム制や、現業機関等において小学3年生以下の子を養育する社員が月に複数日の無給休暇を取得できる短日勤務制度等、より柔軟に働くことができる勤務制度を整備しているほか、企業主導型保育園の利用斡旋やベビーシッター等を利用した時に給付する子育て支援補助金等各種の福利厚生制度を導入しており、実際に数多くの社員がこれらの制度を活用しています。
加えて、育児や介護等を理由に退職した場合において、一定の条件を満たした時に再雇用を行う制度や、勤務地域限定の社員が希望した場合には地域を跨いで異動ができるエリア・チェンジ制度等も整えており、ライフステージに応じて、社員が能力を発揮できるような環境づくりを進めています。

  • ※1 仕事と育児・介護とが両立できるような様々な制度を持ち、多様で柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組みを行う企業を厚生労働省が表彰する制度。
  • ※2 2016年度から2020年度を計画期間とした行動計画の中で、育児休業について、女性の取得率を100%、男性の取得率を3%以上とするなどの目標を設定しています。なお、2005年度から2014年度までに策定した行動計画について、そこで定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たしたため、厚生労働大臣から「子育てサポート企業」として認定を受けています。

育児等支援の取組み

女性活躍推進

当社では、男女を問わず全ての社員が仕事と子育てを両立させ、働きがいを持って十分に能力を発揮できる会社とすべく、2021年4月から取り組む女性活躍推進法に基づく行動計画を策定しました。
この行動計画は、2020年7月に立ち上がった人事部長直轄の女性活躍推進プロジェクトにおいて議論を重ね、男女を問わず全ての社員が働きがいを持って十分に能力を発揮できる会社となることを目指し、大きく5つの方向性のポジティブアクションとして策定しました。今後、今回立てた行動計画に基づき、諸施策を強力に推進していきます。

障がい者雇用の取組み

当社では、多様な人材活用や企業の社会的責任の観点から、障がいをお持ちの方の雇用促進に積極的に取り組んでおり、個別の障がいの程度等に配慮しながら、事務部門や現業部門を含めて幅広く適材適所に配置しています。
2006年10月には、「障害者雇用の促進等に関する法律」に基づく特例子会社である「株式会社ジェイアール東海ウェル」を設立し、主な事業として当社グループ内の印刷業務及び封入封緘業務を行っています。
このような取組みの結果、2019年6月1日時点の障害者雇用率は、2.51%と法定雇用率を上回る雇用を維持しています。
今後も、改正障害者雇用促進法の趣旨に基づき、募集・採用の場面で差別を行わないことはもちろん、採用後も障がいによる制約に配慮しつつ、個人の能力を有効に発揮してもらうべく就労環境の整備を適切に進めていきます。

健全な労使関係

当社は労働組合法を含めた各種法令を遵守しており、現在存在する4つの労働組合その全てとの間で労働協約を締結しています。この労働協約に基づき、経営協議会、団体交渉等を行っており、健全かつ安定的な労使関係の構築に努めています。

団体交渉協定の対象となる全従業員の比率 (単体、2020年4月1日時点)

  • 試用社員を除く

人権啓発

人権啓発の講義の様子

当社は人権尊重を基本に業務に取り組んでおり、社員の人権意識や人権感覚を高めることは、企業として社会的責任を果たすという観点からも重要なことであると考えています。このような考えのもと、本社総務部及び各鉄道事業本部・支社に人権啓発室を設置し、日々の社員指導に当たる管理者を中心に、人権啓発教育を計画的に実施し、多様性の理解に努めています。また、本社人事部及び各鉄道事業本部・支社に公正採用選考人権啓発推進委員を指定し、人権を意識した採用活動を行っております。これらに加え、愛知人権啓発企業連絡会の会員企業として、企業の立場から様々な人権問題の解決に向け、関係行政機関等と協調し、人権が尊重される社会の実現に資する活動をしています。

主な取組み

  • 管理者、新入社員等に人権啓発テキスト『人権を学ぶ』を配布し、研修等で活用
  • 総合研修センターでの管理者、新入社員等の集合研修における人権啓発の講義
  • 主要な職場の管理者を人権研修指導員に指定し、人権に関する啓発と指導を実施

健康経営の推進

健康経営推進の目的

経営理念に示す「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という使命を担うためには、社員一人ひとりがその持てる力を最大限発揮することが大切であると考えています。その基盤となる心身の健康の保持・増進を図るため、2018年4月に当社の健康施策の全体方針となる「健康づくり指針」を制定し、健康経営を積極的に推進しています。

「健康づくり指針」
~いきいきと、長く、働けるように~

  • ①会社は、社員がいきいきと働くための仕組みを整えます。
  • ②社員は、自ら健康増進に努めましょう。会社はそれを支援します。
  • ③私たちは、職場や社員の状況を把握できる客観的なデータに基づき、これらの取組みの効果を検証し、さらなる健康づくりを進めます。

健康経営推進体制

人事担当役員をトップとし、人事部、直営医療機関(名古屋セントラル病院)、産業保健部門(健康管理センター)が連携のうえ、健康経営を推進しています。
健康管理センターでは、東京・静岡・名古屋・新大阪に健康管理室を設置し、4拠点すべてに産業医・保健師・看護師・臨床心理士等の医療職を配置しています。
また、各職場で健康推進担当者を指定して、社員がいきいきと働くための仕組みづくりと、社員・職場の自発的な健康増進を支援しています。

これまでの取組み

健康状態の把握、健康課題・推進施策の共有

全社員対象のストレスチェック(法定を上回る項目数を実施)に加えて、新入社員や異動者、昇格者には当社独自の指標を追加したストレスチェックを実施し、高ストレス者には社内医療職による面談を実施しています。また、新任のマネジメント層(部長職相当)や健康推進担当者に対し、当社社員の健康課題や当社の推進施策を共有する会議を毎年実施しています。

職場の活力向上プロジェクト

社員の健康状態や労働環境を踏まえ、社内医療職の支援の下、各職場の安全衛生組織が中心となり、メンタルヘルス対策・生活習慣病対策の両面から、様々な自発的・継続的な取組みを行っています。この中で、健康診断やストレスチェックの集団分析結果等も有効に活用しています。

禁煙支援の取組み

社内医療職による衛生講話、健診・職場巡視時の面談指導、社内禁煙室集約等の支援を実施しています。またジェイアールグループ健康保険組合による「禁煙サポートプログラム」の活用も積極的に呼びかけています。

運動習慣化

健康増進意識の底上げと運動の習慣化を支援するため、以下のイベントを実施しています。

JR東海フィジカルチャレンジ

体力年齢の測定を軸に、職場対抗競技や家族も参加できる特別プログラム等、楽しく健康増進に取り組める内容としています。

みんなで歩活

ジェイアールグループ健康保険組合にて実施しているウォーキングイベント「みんなで歩活」について、会社としてもインセンティブを設定し、全社で取組みを推進しています。

健康経営優良法人2020「ホワイト500」の認定

健康経営優良法人制度とは、地域の健康課題に即した取組みや日本健康会議が進める健康増進の取組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を、経済産業省が顕彰する制度です。
健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関等から「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目的としています。
2020年は「健康経営優良法人2020 (大規模法人部門)」に、1,481法人(うち当社を含む500法人は「ホワイト500」)が認定されました(2020年3月2日時点)。

人材関連データ集

単体従業員数と女性割合

男女別採用者数

年次有給休暇の取得日数・取得率

育休取得者数

  • 育児を目的とした休暇制度の利用者も含む。

女性管理者数

  • 非現業の係長、現業の助役、医療の看護長等を含む(休職者を含む、出向中の社員は除く)

離職率