コーポレート・ガバナンス

当社は、経営の健全性、効率性及び透明性を確保し、企業の長期的な発展と継続的な企業価値の向上を図るため、コーポレート・ガバナンスの充実に努めています。

コーポレート・ガバナンスに関する報告書

企業統治の体制の概要

当社の取締役会は取締役13名(うち5名が社外取締役)で構成されており、議長は代表取締役が務めています。また、当社は監査役制度を採用しており、監査役会は監査役4名(うち3名が社外監査役)で構成されています。
(人数は令和5(2023)年6月26日現在)
取締役会は、原則として月1回以上開催し、法定事項はもとより、経営上重要な事項について、施策の趣旨や進捗状況等を丁寧に説明し十分に審議のうえ、適法かつ適正に意思決定を行うとともに、取締役の業務執行状況を監督しています。また、経営に関する重要な事項を審議する機関として、代表取締役社長が議長を務め、全ての常勤の取締役及び監査役並びに一部の執行役員を構成員とする経営会議を設置し、取締役会に先立って、より幅広く経営に関する事項を審議することで、その後に開催される取締役会における審議の充実を図っています。取締役会、経営会議をはじめとする重要な会議には監査役に出席を求め、審議過程から経営施策の適法性の確保に努めています。加えて、取締役会では、各取締役及び監査役による自己評価から取締役会全体の実効性について、分析・評価を行い、その結果を踏まえ、取締役会の機能の更なる充実に資する取組みを行っております。また、当社は、子会社等に対して必要な管理、指導を行うことで、適正な業務運営の確保に努めています。
なお、役員の人事、報酬等の決定における客観性、透明性の向上を確保する観点から、独立社外取締役4名と代表取締役社長の計5名を構成員とする人事報酬委員会を設置しており、人事及び報酬等に関わる取締役会での決議に先立ち、全委員出席の下、審議を行っております。取締役会における人事、報酬等の決定に関する決議は、当委員会における審議内容を踏まえ行われております。
当社は平成15(2003)年5月に執行役員制度を導入していますが、当社を取り巻く経営環境の変化に適時・適切に対応するため、平成24(2012)年6月から、より一層の取締役会における意思決定の迅速化及び審議の充実並びに取締役と業務執行を担う執行役員との役割分担のさらなる明確化を目的とした役員体制としています。
監査役は、取締役会、経営会議等の重要な会議に出席するほか、監査役会で策定した計画に基づき、本社部門、鉄道事業本部、支社、現業機関、子会社等の監査や、取締役、執行役員及び使用人等との意見交換等を通じて、その業務執行状況について検証するなど、厳正に監査を行っております。また 、監査役・監査役会の活動に実効性があることを、各監査役の自己評価により確認しております。なお、監査役の職務執行を補助する者として、当社の社員から専任の監査役スタッフを置くなど、監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制を整備しています。
内部監査は、監査部において、業務運営の準拠性、効率性及び有効性の観点から、当社及び主要な子会社等の業務全般を対象として、業務資料や契約書等の書類の確認、作業実態の確認、関係者へのインタビューなどの手法により監査を実施し、その結果を経営者に報告しています。加えて、安全対策部において、運転事故及び労働災害を防止するため、安全監査を実施し、その結果を経営者に報告しています。
会計監査は、会計監査人として選任している有限責任監査法人トーマツから、一般に公正妥当と認められる監査の基準に基づく適正な監査を受けています(継続監査期間 昭和62年4月以降)。
監査役、内部監査部門及び会計監査人は、定期的または必要の都度、情報交換を行うことにより相互に連携を図っているほか、内部統制に関わる各部署から必要な情報提供を受け、内部統制基本方針に定める各項目の実施状況について確認しています。

JR東海のコーポレート・ガバナンス体制

内部統制基本方針

当社は、以下の項目からなる内部統制基本方針について、取締役会において決議しています。

取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

取締役会は、法定事項及び経営上重要な事項について十分に審議し、適法かつ適正に意思決定を行うとともに、取締役の業務執行状況を監督する。
内部監査部門は、取締役、執行役員及び社員による業務執行が法令、定款及び社内規程に適合して行われているかについて、内部監査を行う。
嘱託弁護士等の外部の専門家から、必要に応じてアドバイスを受ける体制を整え、業務運営の適法性の確保に努める。
反社会的勢力との関係遮断のため、不当要求には一切応じず、対応統括部署を定め、外部の専門機関と緊密な連携関係を構築するなど、必要な体制を整える。

取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

社内規程により、保存する必要のある文書を定め、対象となる文書について、適切に保存及び管理を行う。

損失の危険の管理に関する規程その他の体制

各部門の所管事項に関する意思決定については、その重要度に応じて上位の職位による承認、会議への付議など、定められた手続により適切に行う。
また、鉄道運転事故防止に関して、鉄道安全推進委員会での審議を通じて、効果的な対策を強力に推進する。

取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

社内規程により、各部門の分掌事項と職務権限を明確に定めるとともに、その課題と業務量に応じて適切な要員配置を行い、効率的な業務体制を整える。

当社及び子会社等から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制

子会社等の取締役会は、法定事項及び経営上重要な事項について十分に審議し、適法かつ適正に意思決定を行うとともに、取締役の業務執行状況を監督する。
子会社等における意思決定については、その重要度に応じて権限者による承認、会議への付議など、定められた手続により適切に行う。
子会社等では、社内規程により、各部門の分掌事項と職務権限を明確に定め、効率的な業務体制を整える。
当社は社内規程に基づき、子会社等と一定の重要事項について協議・報告を行う旨の協定を締結の上、必要な管理、指導を行う。
当社の内部監査部門は、主要な子会社等の取締役、執行役員及び社員による業務執行が法令、定款及び社内規程に適合して行われているかについて、監査を行う。
子会社等は、反社会的勢力との関係遮断のため、不当要求には一切応じず、対応統括部署を定め、当社や外部の専門機関と緊密な連携関係を構築する等、必要な体制を整える。

監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する体制、その使用人の取締役からの独立性に関する事項及びその使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項

監査役の職務執行を補助する者として、当社の社員から専任の監査役スタッフを置く。
監査役スタッフの人事について、人事部門は、事前に監査役の意見を聞く。

取締役及び使用人が監査役に報告をするための体制その他の監査役への報告に関する体制

取締役、執行役員及び社員は、当社または当社及びその子会社等から成る企業集団に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合及び当社またはその子会社等において法令・定款に違反する重大な事実を発見した場合は、社内規程に従って、遅滞なく監査役または監査役会に報告を行う。
また、取締役、執行役員及び社員は、監査役または監査役会の求めに応じ、その職務の執行に関する事項について報告を行う。
上記の報告を行った取締役、執行役員及び社員は、当該報告を行ったことを理由として不利な取扱いを受けない。

子会社等の取締役、監査役及び使用人が当社の監査役に報告をするための体制

子会社等の取締役、執行役員及び社員は、当該子会社等に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見した場合及び法令・定款に違反する重大な事実を発見した場合は、当該子会社等の社内規程に従って、遅滞なく当該子会社等の監査役に報告を行う。当該子会社等の監査役は、上記の事実について報告を受領した場合及び上記の事実を発見した場合は、当社の監査役に報告を行う。
上記の報告を行った子会社等の取締役、監査役、執行役員及び社員は、当該報告を行ったことを理由として不利な取扱いを受けない。

その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制

取締役会への出席のほか、経営会議等の重要な会議に監査役の出席を求め、経営施策の審議過程からその適法性の確保に努める。
内部監査部門は、監査役及び会計監査人との連携を深め、監査役監査の充実を図る。
監査役の職務の執行について生ずる費用の支出等については、社内規程に従って適切に処理する。

コンプライアンス・内部通報制度

当社は、法令等に基づき社内規程を整備するとともに、様々な機会を通じて社員教育を実施し、業務遂行における法令等の遵守を徹底しています。これに加え、内部通報制度を整備し、当社内だけでなく社外の法律事務所にも通報窓口を設け、社員等が就業箇所で法令等に違反する行為を発見した場合に通報することができる体制を整えています。通報に当たっては、匿名での通報も可能とし、社内規程において、通報者の氏名の非開示や通報したことを理由とした不利益な取扱いを行わない旨を明記するなど、通報者の保護についても取扱いを徹底しています。また、内部通報制度の説明や通報窓口の連絡先を記載した紙面を全職場に掲出し、制度の周知を図っています。

リスク管理体制

当社では、鉄道運転事故や労働災害及び災害を防止する観点から、本社、鉄道事業本部、支社及び各地区に「鉄道安全推進委員会」等を設置し、本社から現業機関に至るまで一貫した体制により安全対策の確立・推進を行っています。
また、事故や災害の発生など異常時に対しては、情報伝達の要となる指令組織を各鉄道事業本部において24時間体制で運営するとともに、事故や災害の規模・影響に応じて非常参集できる復旧即応体制を整えています。さらに、大規模災害等の異常時に備え、東海道新幹線において、総合指令所の代替機能を有する第2総合指令所を設置しています。

財務報告に係る内部統制への対応

財務報告に係る内部統制については、企業会計審議会が示す基本的枠組みに準拠し、定期的に当社及び当社グループの体制・執行状況等の調査を行い、有効に機能していることを確認しています。また、それらの調査状況を業務にフィードバックすることを通じて、レベルの維持に取り組んでいます。

資本政策、株主還元の考え方

資金調達については、中央新幹線の建設の推進のために行った総額3兆円の財政投融資を活用した長期借入のほか、社債の発行や借入によることとし、現時点で自己株式の活用や増資の予定はありません。
当社の配当に対する考え方は、長期的な視点に立って経営を行う鉄道事業の性格から、従前より一貫して、安定配当を継続することを基本に、各期の経営環境、業績を踏まえて具体的な配当額を決定するという方針です。自己株式については、当社では、基本的に配当による株主還元が適切であると考えており、現時点で買い増す予定はありません。
なお、「長期的な視点に立って」とは、新幹線の大規模改修工事や脱線・逸脱防止対策等、鉄道を長期にわたり安定的に運行していくために必要な取組みを手を抜かずしっかりと実行するという考え方で経営を行っていくということと、中央新幹線計画という大規模で長期的な事業に取り組んでいくということを指しています。株主の皆様からこうした考えに対するご理解をいただくためには、安定配当の継続という基本方針が必要と考えています。これからの中央新幹線の建設期間中もこの基本方針は変わらず、安定配当を堅持していきます。