Top Message

全てのステークホルダーからの信頼と負託に応え、「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という使命を追求する。

経営の基本方針

当社は「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念のもと、中長期的視点に立って、日本の大動脈を担う東海道新幹線と東海地域の在来線網を一体的に維持・発展させるとともに、グループ会社と一体となって鉄道と相乗効果の高い関連事業を展開していくことを経営の基本方針としています。
私は、こうした鉄道事業を中心とする事業活動を行っていくには、各部門の「安全に仕事を進める能力」、「より良いサービスを提供する能力」、「効率的に仕事をする能力」が不可欠であり、この3つの力を不断に高めつつ、発揮することで、会社発足以来、これまで約30年の間に大きな成果を上げることができたと考えています。
まず、安全・安定輸送の確保は、すべての事業展開の大前提であり、鉄道の原点であることから、一貫して最優先に取り組んできました。中央新幹線を除いた毎年の設備投資の約7割は安全に関わるもので、会社発足以来、現在までの安全関連投資累計額は約3.8兆円に上ります。また実践的な教育訓練や大規模な復旧訓練等で異常時に備えるなど社員の技量と安全意識の向上に弛みなく取り組むとともに、技術開発においても安全を第一のテーマに取り組んでいます。この結果、東海道新幹線においては開業以来、乗車中のお客様が死傷される列車事故は0件であるなど、当社グループの安全に対する信頼はおおいに高まったと思います。
また、サービス面では、主力の東海道新幹線について、安全かつ正確な点はもとより、高速・高頻度・快適といった点についても注力してきました。具体的には、積極的な新型車両の投入や新大阪駅の改良など、「のぞみ」を中心とした「輸送改善」のための継続的な設備投資等を実施することにより、最高速度を会社発足当時の時速220キロから時速285キロに向上するとともに、1日あたりの運転本数も会社発足当初から約6割増加させました。また、2020年3月には1時間に「のぞみ」が12本走行可能なダイヤを実現し、7月には新型車両「N700S」の営業投入を開始するなど、不断にサービスレベルを磨き上げてきました。加えて、ネット予約・チケットレス乗車サービスの推進など販売面での取組みも積極的に行い、それらの結果、東海道新幹線の輸送量は会社発足当初から約1.6倍に増加しました。あわせて、在来線においても新型車両の投入やフリークエンシー向上などに努めてきたほか、名古屋駅のJRセントラルタワーズやJRゲートタワーに代表されるように、鉄道事業との相乗効果を期待できる分野を中心とした関連事業の展開により収益基盤の拡充を図ってきました。
さらに、現状維持を是とせず、安全やサービスの質を高め収益を拡大させながら、同時に創意工夫をこらして低コスト化と効率化に継続的に取り組み、費用の増加を抑えてきました。
このように、安全を大前提に、主力の東海道新幹線を軸にサービスを改善し、低コスト化と効率化に取り組んできた結果、収益と利益が増加し、それをベースに長期債務の縮減を図るとともに、長期的展望に立って安全とサービスの強化、さらには技術開発のための投資を促進するという好循環が実現して、経営基盤を大幅に強化することに繋がりました。現在進めている中央新幹線計画もこうした経営基盤の強化の結果、可能になったわけです。
昨今、企業経営において「ESG経営」への要請が高まっていますが、当社の事業活動はまさに「ESG経営」を体現したものになっていると考えています。当社は「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」ことを経営理念として掲げ、これを実現するために安全最優先の企業文化の確立や経営の健全性・効率性及び透明性の確保を図りつつ企業としての長期的な発展を目指すことで、全てのステークホルダーから信頼を高めるという確固たるガバナンスのもと、事業活動に取り組んできました。そして、事業の核であり日本の大動脈である東海道新幹線と東海地域の在来線について安全・正確・快適な鉄道輸送サービスを徹底的に磨き上げ、より暮らしやすい社会の実現に貢献するとともに、元来、環境優位性の高い鉄道輸送のご利用を促進することに加えて、最新技術を取り入れながら鉄道の環境優位性のさらなる向上を不断に図ってきました。また、こうした当社の事業活動の成果は、安全かつ強靭なインフラ構築、イノベーションの推進、気候変動の影響軽減という形でSDGsの目指す「持続可能な開発」の達成に繋がっています。さらにジェンダー平等、働きがいのある雇用の促進という観点からも、SDGs達成に繋がる取組みを日々進めています。

将来のさらなる飛躍に向けて

先ほども触れましたが、現在取り組んでいる中央新幹線計画は、開業から50年以上が経過した東海道新幹線の将来の経年劣化や大規模災害への抜本的な備えとして、民間企業である当社の自己負担で進めることを前提に、当社が開発してきた超電導リニアにより実現しようとするものです。この計画により、当社は東海道新幹線と中央新幹線を一元的に経営することとなり、例えば東海道新幹線「のぞみ」をご利用のお客様が中央新幹線へシフトすることで「ひかり」、「こだま」の増発余地を生み出すなど、2つの高速鉄道を組み合わせてトータルとして最も望ましい輸送体系を構築していきたいと考えています。そしてこのバイパス建設により経営リスクを低減させ、安定化を図り、経営理念である「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という当社の使命を将来にわたり力強く果たし続けることが可能になると考えています。加えて、中央新幹線の開業は、日本経済、さらには人々のライフスタイルに大きなインパクトを与えると考えています。政府においてもスーパー・メガリージョン構想が提唱され、東京、名古屋、大阪の3大都市の一体化を実現することで、かつて東海道新幹線が開業した際と同じように、中央新幹線の開業が極めて大きい効果を生むとの期待が高まっています。今後も早期の開業を目指して、工事の安全、環境の保全、地域との連携を大切にしながら、この中央新幹線計画を全力で進めていく考えです。

より高いレベルで経営理念を実現する

2020年2月以降、新型コロナウイルス感染症の発生を受けた外出自粛等の影響により鉄道等のご利用が大幅に減少しており、当面は厳しい経営環境が続くことも覚悟しなければなりませんが、当社グループとしては、引き続きお客様に安心してご利用いただけるよう様々な感染防止策を講じながら、公共性の高い社会インフラとしての役割を果たしていく考えです。また、今回の感染症の影響により、テレワークやオンライン会議の活用が世の中で広がるなど、社会環境に変化が生じていく可能性がありますが、人と人が直接、face to faceで会うことの重要性は今後も変わるものではありません。ICTの活用が進む中でも、実際に足を運んだ対面でのコミュニケーションの実現を担う立場から、引き続き快適で便利なサービスの提供に努めていきます。
今後とも、日本の大動脈を担う東海道新幹線の安全・正確・高速・高頻度・快適という特性を磨き上げること、そして東海道新幹線とネットワークをなす東海地域の在来線、さらには、鉄道事業との相乗効果を期待できる関連事業を引き続き強化していくという当社グループの使命は決して揺らぐことはありません。そして、この使命を将来においてさらに力強く実現するため、中央新幹線の建設を進めていきます。こうした事業戦略のもと、日本経済や国民生活を支える重要なインフラ企業として、使命感を持ち、常に「日本の大動脈と社会基盤の発展に貢献する」という経営理念に立ち返り、これをより高いレベルで実現すべくチャレンジを続け、健全経営と安定配当を堅持し、株主様、お客様、従業員、取引先などを含むすべてのステークホルダーからの信頼を高め、持続的な成長を果たしていきたいと思っています。
皆様におかれましては、より一層のご支援と、当社グループ事業に対するご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。